CPM右手康登の
賃貸経営、相続、投資…何でも相談室
- CPM・Certified Property Manager
(サーティファイド プロパティー マネージャー)
CPMとは米国におけるプロの不動産管理者としての知識の育成や能力の向上を目的とした教育プログラムを受講し一定の試験に合格したものに与えられる最高峰の認定資格です。プロの不動産管理者としての倫理規約の遵守は取分け厳格で不動産管理運用におけるハイレベルな業務標準化を実現しています。
右手康登(うて・やすと) 氏
大手住宅メーカー・小堀住研(株)(現、エス・バイ・エル)のトップセールスマンとして活躍した後、2002年に独
立し、相続・不動産経営などのアドバイスを中心に行う不動産コンサルティング会社・新都市総合管理(株)
を設立し、現在に至る。CPM公認不動産経営管理士、不動産コンサルティング技能登録、宅地建物取引主
任者、AFP日本ファイナンシャルプランナーズ協会会員、2級ファイナンシャルプランニング技能士、賃貸不動
産経営管理士など各種資格を保有し、関連団体の正規会員でもある。駒澤大学経営学部卒。昭和38年横
浜市生まれ。
このコーナーでは、賃貸住宅経営はもちろん、相続や投資についてのさまざまな案件を手掛けているコンサルタント・右手康登氏に寄せられた相談事例を掲載します。
こんにちは、右手です。私は大学を卒業したあと、住宅メーカーで注文住宅の営業を中心にがんばってきました。そして独立をして、今は相続や不動産に関するご相談を受け付ける仕事をしています。さて、「最初から大家さんになるつもり」で賃貸住宅のオーナーになる方は少ないものです。
多くのオーナーは、相続や投資のために選択肢のひとつとして賃貸住宅の経営を検討します。したがって「どんな賃貸住宅を建設するか」「どう経営するか」といったことは、その前提である「目的」、相続や投資の面を踏まえた判断が必要です。そのような視点から、私が受けたご相談を例に、相続対策や投資と収益アップのためのアパート・マンション経営のポイントなどをお伝えしていきます。
※回答は相談事例をもとにした一般例です。個別の案件では専門家のアドバイスを受けてください。また事例は相談者のプライバシーを考慮し一部内容を変更しています。
Q1 「相続貧乏」にならないように
私の父は時価で1億5,000万円と言われる土地を所有しています。路線価は1億2,000万円ぐらいです。最近父は、相続対策にもなるからと、賃貸住宅の経営を勧められています。建設費は1億円弱ですが、それも全額ローンにすれば節税になるとのことです。娘の私としては、70歳を過ぎた父が数千万円の借金をすることには反対なのですが……。建てるべきでしょうか。
「相続貧乏」にならないように
「節税対策」になるからと賃貸住宅を建築した方の中には、マイナス資産控除だけを狙ってローンを組む方も多いようです。また、駅から徒歩30分以上もかかる場所だというのに、ハウスメーカーなどから言われるがままにアパートを建て、入居者が集まらなかったり、超豪華な賃貸マンションをつくったものの、返済額を満たす賃貸収入を得られない方、また投資額と予定収入のバランスの悪い計画を進めた方ばかりでなく、本当は相続税がかからないのに、「節税対策」をしてしまった方もときどきみかけます。こういう方が「相続貧乏」なのです。
アパートを建てても入居者がいなければ不良債権になってしまいます。どの程度の借り入れと返済ならば節税効果と返済負担のバランスがいいのか。アパートを建てて経営的に成り立つ場所か、どういうものを建てれば良いのか……などを十分検討する必要があります。ハウスメーカーや金融機関の話だけでなく、税理士やプロパティマネジメントの専門家のアドバイスを受けてみてください。
ひとに貸せば評価は下がる
そもそも、アパートなどの賃貸住宅経営がなぜ節税対策になるのか。それは、人に貸すことにより「自由に使えない」という事情を負っていることによって、税金が安くなっているわけです。土地を貸していれば、人に貸したことによって、所有権が100%あったものが、借りている人に60%の権利があるとされてしまいます。人に土地を貸した場合には貸家建付地という評価になり、貸家を建てた場合には、借地権割合や借家権割合などにより、さらに評価が下がっていきます。
土地価格は4種類。価格差がある
ご質問にあるように、時価1億5,000万円の土地が、路線価による評価額は1億2,000万円に下がっているというのは、土地の価格には、相場(時価)である「比準価格」と、規準価格とも言える「地価公示価格」とがあるからです。さらに土地価格の評価は「相続税路線価」と「固定資産税路線価」とがあります。
相続を経験された方なら記憶されているでしょうが、この4つの評価には価格差があります。「地価公示価格」を100とすると、相場(比準価格)は110%であり、「相続税路線価」は相場の30%引きで評価されます。そして、「固定資産税路線価」はさらに10%引きとなります。
相続財産としての建物評価は6〜7割
さらに、建物の評価は固定資産税評価額をもとに算出されますが、一般的にこの固定資産税評価額は建築価格の60%〜70%となっています。
路線価1億2,000万円の土地に1億円の貸家を建てるとします。借地権割合が60%、借家権割合が30%の場合で、建設費1億円の100%についてローンを組んだとすると、土地の価格は9,840万円という価格に下がります。そして、建物は1億円だけれども、固定資産税の評価は60%として見ていきなり6,000万円に落ちます。さらに、それの30%引きですから、建物の評価上は4,200万円になります。
ですから、1億2,000万円だった土地と、1億円だった建物は実際には9,840万円+4,200万円の評価になっていきます。さらにローンがあります。ローンは丸々負債が残っていれば、それがマイナス資産控除になりますから、4,040万円にまで下がります。整理をしますと、7,960万円の評価減が実現できます。
ローンの組み方は慎重に
更地でおいておくよりも、貸家を作ることによって建付地の評価はぐっと下がりますから、相続税の対策にはなります。けれども、少し注意しなければいけないのは、最後にローンの1億円を引きましたが、1億円の現金で建てた場合でも、評価は下がっていくのです。
現金の1億円がそのまま手元にあると考えると、現金1億円と土地が1億2,000万円で、2億2,000万円です。貸家を建てることによって1億6,040万円になるわけですから、ローンを組まなくても5,960万円の評価減にもなります。ローンを組んだときの7,960万円評価減のほうがもちろんいいのですが、実際にローンを組んでもいいものか、ということも注意して計画しなければいけません。
実際、ローンを組み過ぎることによって相続の負債に苦しんでいる方もいるのです。ご質問の内容では、節税対策になるのは間違っていません。しかし、だからと言ってそれだけの理由で建築をしていいのかというと、少し考えた方がいいかもしれませんね。
ケーススタディー
●時価1億5,000万円、路線価1億2,000万円の土地(借地権割合:60%、借家権割合:30%の地域)に、建築代金1億円の賃貸住宅について100%ローンを組んで建築した場合(ローンは1億円、その他経費1,000万円は現金で支払い)、土地をそのままとした場合と比較して、どのくらい評価額を下げることができるか(建築費1億円の建物の固定資産税評価額を6,000万円と仮定する)
<評価額の計算>
●土地の評価(貸家建付地)
1億2,000万円×(1−60%×30%)=9,840万円
●建物の評価(貸家)
6,000万円×(1−30%)=4,200万円
●評価額の合計
9,840万円+4,200万円−1億円(ローン)=4,040万円
<相続税評価額>
土地を更地のままで相続した場合の評価・・・1億2,000万円
賃貸住宅を建築した場合の相続税評価・・・4,040万円
1億2,000万円−4,040万円=7,960万円
7,960万円の評価減が実現!!
節税対策にはなるわけです!!
ここで注意しなければならないポイントを整理します!
●ローン1億円のおかげで評価が下がったのでしょうか?
●実は現金1億円で建てた場合でも
1億6,040万円の評価
●建物を建てない場合は、現金の1億円があると
考えられる
●1億2,000万円の土地と1億円の現金で、
なんと評価は2億2,000万円となります
●貸家を建てることによって、現金払いで行った場合、
2億2,000万円−1億6,040万円
=5,960万円の評価減となる
では、何を注意すべきなのでしょうか?
注意!!
●5,960万円の評価減より、
ローンを組んで7,960万円の評価減のほうがいい!
●ローン自体はマイナス資産控除になるのですが
ここで注意すべきは、
1億円のローンに無理がないかです・・・
●この辺にアパート経営の落とし穴が
潜んでいるのです・・・
Q2 アパート経営の基本
父の財産を上手に相続するために、アパートを建てることが有効だとわかりました。ただ、建てた後、ちゃんと経営していけるのかが心配です。どのような点に注意したらよいのでしょうか。
A2 アパート経営の基本
http://www.ene-web.com/pocket/cpmimg/ute02.pdf
Q3 賃料の考え方
相続したアパートを経営していく予定ですが、賃料はどのぐらいにすればよいのか分かりません。賃料はどのように決めればよいのでしょうか。
A3 賃料の考え方
http://www.ene-web.com/pocket/cpmimg/ute03.pdf
Q4 賃料のためのマーケティング
賃料を決めるためには、空室期間も考えなければいけないことは分かりましたが、どのぐらいに設定すれば、空室を作らずに利益を出せるのでしょうか?
A4 賃料のためのマーケティング
http://www.ene-web.com/pocket/cpmimg/ute04.pdf
Q5 効果的な空室対策
現在、築15年のアパートを運営しています。数年前から空室が出るようになりました。家賃は周辺の相場に合わせて下げていますが、効果はありません。なんとか空室を埋めるためには、どうしたらよいのでしょうか。
A5 効果的な空室対策
http://www.ene-web.com/pocket/cpmimg/ute05.pdf
Q6 オーナーに必要な能力
父から相続したアパートをこれから運営していく予定です。相続や経営については、色々と勉強していますが、自分の力で続けていけるのか不安になります。うまく運営していけるでしょうか。
A6 オーナーに必要な能力
http://www.ene-web.com/pocket/cpmimg/ute06.pdf
Q7 相続のタイミング
ハウスメーカーの担当者が、「税制優遇があるから相続は今年中に」と言ってきました。相続のためにアパートを建てろというのです。税金に期間限定の優遇なんてあるのでしょうか。
A7 相続のタイミング
http://www.ene-web.com/pocket/cpmimg/ute07.pdf
Q8 入居者ニーズと意識 その1
首都圏で賃貸物件に入居者した世帯の契約内容、つまり賃貸市場の現状はどのようになっているのでしょうか。
A8 賃貸市場の現状
http://www.ene-web.com/pocket/cpmimg/ute08.pdf
Q9 入居者ニーズと意識 その2
賃貸住宅への入居者は、どのような設備や仕様を望んでいるのでしょうか。
A9 入居者が望む設備・仕様
http://www.ene-web.com/pocket/cpmimg/ute09.pdf
Q10 入居者ニーズと意識 その3
賃貸住宅への入居者は、どのような部屋や間取りを望んでいるのでしょうか。


