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火災保険の特約は
お得な約束?

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保険コンサルタント
村田 稔 氏
 
 保険会社の不払いが問題になったのは、今年(2006年)の初めのことでした。生命保険も損害保険も、保険ということでひとつにくくられてしまいますが、生命保険と損害保険の不払いの原因は、全く異なり、対策も当然異なってきます。
村田 稔(むらた・みのる)
 テレビ局関連会社、旅行代理店を経て、日本初の生保系乗合代理店に入社。社長室長など要職を歴任し、「加入者の立場に立った保険加入」の理念を実現するために独立。(株)保険パートナーズジャパングループ・ヤキンインコーポレーション代表取締役社長。著書「やっぱりあぶない損害保険の選び方」(三五館)。昭和58年、中央大学法学部卒。 

特約とはそもそも何か?
ゴルファー保険が 自動車保険の特約となるワケ

 生命保険と損害保険の不払いの問題の違いを簡単に言えば、生命保険は詐欺と認定されてもおかしくない不適切な営業活動が原因であり、損害保険は多種多様化する特約の支払いについて、損害保険会社のシステムも保険代理店もついていけなかったというチョンボが原因です。 損保最大手の東京海上日動火災では、特約は4,000種類あるそうです。他社も同様な数の特約をもっていることでしょう。
 では、システムも対応できない特約がなぜ生まれてきたのでしょうか。それには、2つの背景があります。 1998年の保険業法改正以来、商品の開発競争がすすみ、他社商品との差別化をしなければならないということ。そして、特約によって収入保険料を増やしたいとの思惑が存在しています。この背景に対応した商品開発そのものは特別なことではありませんが、果たしてこんな特約は必要なのだろうかというような商品があることも事実です。例えば、自動車保険の特約で、ゴルファー保険があります。自動車の運転とゴルフのホールインワンは全く関係ありませんが、事務の効率化から求められた特約です。 ゴルファー保険の補償内容は、大きく分けて4つです。まず、自分が打った球や、ゴルフクラブで他人や物に損傷を与えた場合の賠償責任、ゴルフクラブが破損した場合の損害、自分自身の傷害、そしてホールインワン。補償額によりますが、最低でも、賠償責任、傷害、ホールインワンには加入するでしょう。それでも年間の平均保険料は数千円です。損害保険は毎年更新ですので、1年に1回であっても、こうした少ない保険料の更新手続きは、意外と見落とされてしまうことが少なくありませんでした。そこで、多くのゴルファー保険加入者が自動車保険の契約をしていることに着目し、互いの手間を軽減するために、自動車保険の特約になったわけです。  しかし、こうした特約は例外であり、むしろ同様な特約が他の保険種目にもあって、いったいどれにすれば良いかがわからなくなっているのが実態です。特に、ゴルファー保険にもある傷害保険はダブりが多く、無駄払いをしているケースが少なくありません。

アパート経営者にお得な特約とは?
意外と見落とされている家賃収入特約

 アパート経営をされている方であれば、火災保険は当然加入されていると思います。しかし、意外と見落とされているのが、火災でアパートが焼失してしまった場合、家賃収入が途絶えてしまった時に、契約時に定めた家賃に相当する保険金が支払われる家賃収入特約です。 この特約は、まさに必要補償の最たるものであり、保険料も割高ではありません。しかし、火災保険のパンフレットにも、あまり大きく案内されていませんし、保険代理店のほうでも積極的な紹介をしていないようです。ですから、加入率も低いのですが、家賃補償も数カ月の設定が可能であり、充実した補償内容となっています。今後その価値が認められれば、もっと注目されるマーケットといえるでしょう。 ※主契約もあります

モノ保険からコト保険へ
入居者の収入が 途絶えた場合のリスクにも対応

 火災保険での家賃収入特約は、損害保険の商品開発が大きな変化をとげていることを示しています。 家や家財といたモノにかける保険から、家が焼失してしまったために、家賃収入がとだえるといったコトにかける保険が増えてきているのです。
 実際、企業保険の分野や店舗の保険では、利益にたいしての補償が求められることが多いので、こうしたコト保険は存在していましたが、個人保険の延長と見なされやすい分野では、コト保険の普及はまだまだなのが実態です。冷夏でビールの売り上げが一定数値以下になったら保険金が支払われるデリバティブも、こうしたコト保険の延長上にあります。
 アパート・マンション経営が当初予想した市場環境ではなく、見込み通りの入居者がなかった場合の保険商品が開発されることも今後あるかもしれません。 しかし、家賃の滞納があった場合、滞納家賃が保険金で支払われるという商品の開発は極めて難しいと思います。なぜなら、保険は偶発的な事故が起こった場合に支払われるものですから、家賃の滞納を偶発的な事故とすることは難しいですし、意図的な滞納が起こりえます。
 ただ、入居者が病気や怪我で収入が途絶えた場合に家賃を滞納するリスクはありますから、入居者に収入を補償する所得補償保険加入を勧めるということも、今後重要なアパート経営の検討事項ではないでしょうか。

書籍紹介
『やっぱりあぶない、損害保険の選び方
 ―なんで、そんなに払っているの?』
村田 稔
→本の紹介文を読む
三五館/12006年5月発行/1,050円(税込)
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