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アパート・マンションオーナー向け
情報誌「ポケット倶楽部」誌上講演録
空室対策!
リノベーションの成功例

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魅力ある物件に
生まれ変わらせて収益アップ
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橋本一郎 氏
(株)サンコーライフサポート 専務取締役(取材時)

 老朽化した建物や設備をリフォームで元通りに直すことはできても、その建物や設備自体が時代のニーズとかけ離れていては意味がありません。 そこで、付加価値の高い魅力的な物件に生まれ変わらせるのが「リノベーション」です。
 ガス、建築、介護の3分野に長けた(株)サンコーライフサポートの橋本一郎氏に、リノベーションの成功例を"誌上講演"していただきました。

 この原稿は、小野寺燃料株式会社(札幌市。小野寺昌顕社長)主催のオーナーセミナーでの講演をもとに、「ポケット倶楽部」編集部が再構成したものです。

橋本一郎 氏

新築時を上回る価値創造を

 当社グループは福岡で24,000戸の不動産管理事業のほか、家主さんのニーズと信頼を得て始めた介護事業を展開しています。ですから、「介護ができる街のリフォーム屋」として普通の建築会社、ハウスメーカーとは違った形で建設業を展開しています。
 この中で私は、空室をなくすことに視点をおいたリノベーションを家主さんとともに行っています。リフォームが建物の価値を維持するのに比べ、リノベーションは様々な機能、性能を更新して全く新しいものに再生し、建物の価値を高めようというものです。築20年、30年経っていても、新築完成時を上回る価値を創造するものです。したがって、リフォームより規模は大きくなります。

リノベーションのポイント

 今、賃貸アパート・マンションの空室率は、全国平均で約12%。数にして660万戸あるというのが現状です。空室が埋まらなくなった、空室期間が長くなった、入居期間が短くなった、設備的なクレーム・修理が増加してきた…これがリノベーションの一つのタイミングです。
 空室をなくす観点から、何より大事なのは、建物が魅力的かどうかです。エントランスなどの第一印象は非常に大事です。同時に、間取りは今のニーズに合っているか、設備は充実しているか、家賃は適正か、問い合わせ・物件案内件数はどれくらいあるか、なども重要です。問い合わせが多くて案内はするが決まらないというのは、明らかに建物に原因があります。

コンセプトをしぼった運営も

 入居者の想定も大事です。単身かファミリーか、高齢者対応か、ペット対応か、などです。私どもは福岡で介護賃貸住宅NPOセンターというNPO法人も持っていますが、ある病院からお願いされたのは腎臓透析の方だけのアパートを作って、部屋を用意して欲しいというものでした。食事をつくる方から言えば、腎臓が悪い方の塩分を調整した食事は、一般的な病院へ行けば特別食。でも、そういう方ばかり集めれば特別食ではないのです。糖尿病の方からも同じことを言われています。ですから、10戸、20戸と空いている物件があれば、コンセプトを一つにしたコレクティブハウスという形の運営を考えるのもいいと思います。
 また、リフォーム工事をして一番大事なのは、いくらの家賃がとれるかということです。家主さんは事業ですから投資金額は家賃集金額の60ヵ月をメドにしていただきたい。それ以上かかったら家主さんのうまみはないと思います。例えば1,000万円かけた工事なら1年の家賃集金額は200万円になるという計算でよいと思います。

管理会社にとっても魅力的な物件づくりを

 リノベーションの場合、基本的には建築確認は不要です。新築の場合は家賃の入ってこない期間が半年ほどありますが、リノベーションならほとんどの物件が2カ月以内で工事が完了しますし、入居者がいても工事できるので家賃収入はほぼ維持できます。
 空室対策で家賃を下げるのも一つの手ですが、入居者の質が下がる場合もあります。それよりもリノベーションを考えた方が得策だと思われます。また管理会社を変更する場合もありますが、仲介して手数料をとる管理会社は、案内しても決まりにくい物件は案内しないと思われます。したがって、入居斡旋をする管理会社から「ぜひうちに募集させて欲しい」と言われるような物件づくりをするべきだと思います。

ニーズ追求で空室対策を強化

 今、入居が嫌われている部屋の中に、お風呂とトイレが一緒というタイプがあります。1,116(1,100×1,600o)以上のサイズのユニットバスが入っている場合なら、リノベーションでお部屋を狭くすることなく、風呂とトイレの分離工事ができます。
 福岡の事例ですが、単身者用のベスト5はエアコン、独立したバス・トイレ、ガスコンロ、1,800o以上の収納、防犯対策です。その他非常に多かったのが、浴室暖房乾燥機です。ファミリー層ですと、1位はシステムキッチンです。ガスコンロもいいが、IHヒーターはさらに人気が高い。給湯器では追い炊き機能の利用経験者の40%がこの機能がないと借りたくないとはっきりおっしゃっています。
 お部屋探しでは今、インターネットが活用されています。その時に"新築物件"で検索するという人が数多くいます。
 築30年の物件も、リノベーションで新築同様にすればニーズに沿うことになります。新築の5割から6割の予算で、おしゃれで機能的、しかも防犯対策も十分な魅力ある物件に生まれ変われば、強力な空室対策になると言えるでしょう。