|
事業のスタートにあたりブランドを「デリバリーミルク スマイル」と決めました。そして、まず当社の江戸川営業所の中に事務所をオープンさせました。検討してから3ヵ月も経たぬ間の9月1日のことです。ここはLPガスの直売と一部卸の拠点となっているところで、たまたまスペースがあったことと、当社のデポ5ヵ所のうち、最も人口が密集していて一番成功の確率が高いと思われる場所として選んだわけです。宅配ビジネスの場合は人口密度が重要だと判断したからです。
オープンにあたり、まず訪問営業用に、店長となった社員の似顔絵漫画を描いたチラシを準備しました。これを持ってご家庭に伺うと親しみがわくという計算です。ガスの営業所の敷地にプレハブで作った店内には冷蔵庫と冷凍庫を置き、ミーティングルームも作りました。そして、日本で始めてのホルスタインマークの配達車も2台用意しました。これは子供受けがよく大成功でした。以上が牛乳宅配ビジネスの初期投資です。事業所の中なので家賃も余分にはかからず、全部で700万円程度でした。
営業をはじめていくと、新規客を伸ばすためにはやはりノウハウがあることも分かってきました。広告代理店から牛乳宅配ビジネスに参入したという方にご協力いただき、パートの研修や管理方法などを教えていただき、当社なりのノウハウを蓄積しています。
研修を受けたパートさんは、月のスケジュールを決めてサンプリングして、それを回収する形で新規のお客様を取ってきます。ガスの新規開拓営業よりもはるかに簡単で、素人でも営業の戦力にしていくことができます。正社員は店長だけで他はパートさんですから、営業経費が変動費になるわけです。パートさんが定着するまでにやや時間がかかりましたが、今では核になる指導力のあるパートさんも出てきています。パートさんの活用で、売上計画が見込めるようになっています。
宅配牛乳の粗利率は50%以上あります。森永の場合、宅配牛乳でトップシェアの商品は「カルダス」で、1本120円の売値です。スーパー等で売られている安い牛乳とは別の、いわば「健康食品」のひとつで、これらの牛乳は量販店には流れないようになっています。メーカーにとっても高収益商品であり、メーカー側でしっかりと流通のルートを分けているわけです。ですから、運動部に入っている中学生のいる家庭では1リットル100円ちょっとの牛乳を買い、骨粗しょう症を心配するお金を持った中高年が、宅配で良い牛乳を選んで飲んでいるわけです。
つまり宅配牛乳の新規開拓営業は、健康のために良い牛乳を選んで飲むご家庭を探す活動です。サンプルとして牛乳を飲んでいただきながら契約をお願いするわけですが、だいたい1軒の顧客を開拓するのに、3,000円程度の投資が必要です。とにかくひたすらサンプルをお配りするわけで、最初の新規獲得はサンプル数に比例するとも言えます。当社の場合、こうした取り組みで、スタートから約半年で500軒のお客様を獲得し、3年で当初目標の3,000軒、売上高1億円を達成しました。現在は、さらに東京都内にもうひとつの拠点を開設し、顧客数は7,000軒に届こうとしています。
|