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ISOは“仕組み”は
会社ばかりでなく家庭でも応用できる

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ISOマネジメント研究所
所長
人見 隆之 氏
人見 隆之 氏

 一連の品質問題を起こした不二家では、ISOは一時停止となりました。最近、ISOを取得した企業が、社会的に問題となる法令違反を起こすという問題が、特にクローズアップされています。「こういうことが起きると、ISOはダメだなんていわれる場合がよくありますが、この場合、悪いのはISOではなく、不二家にあることははっきりしています」。こう語るISO取得支援の専門家である人見隆之氏に、ISOとはどういうものなのか、から伺いました。

人見 隆之 (ひとみ・たかゆき)
ISOマネジメント研究所所長。http://www.iso-mi.com
中央大学法学部卒業。39歳。マーケティングリサーチ会社にて、医薬品の実態調査に携わり、全国の医師の面接調査を担当。その後、経営コンサルティング会社にて、主に中小企業におけるISO9001、14001等のコンサルティングに従事する。2001年9月にISOマネジメント研究所を設立し、品質・環境・情報のISO取得・維持支援を行う。現在、これに留まらず、目標管理等の社員教育も行っており、幅広い仕組みづくり、人づくりを支援している。

ISOは仕組みに対しての認証

 一連の品質問題を起こした不二家のISOは一時停止となってしまいました。こういうことが起きると、ISOはダメだなんていわれる場合がよくありますが、この場合、悪いのはISOではなく、不二家にあることははっきりしています。それは、ISOの認証は、あくまでも仕組みに対しての認証で、質そのものを保証するものではないからです。とはいっても、ISOの認証を受けていれば、それなりの質は持っているのだろうとまわりは理解します。ですから今回、経済産業省から実態調査の指示が出されたように、今後、ISOの審査をする審査機関は、認証の価値を落とさない審査が必要になってくると思われます。 現在、審査機関は約70もあり、審査機関どうしでの競争が激化しています。審査機関にはこのため、単に認証取得ではない、付加価値を持つ審査がいかにできるかということが求められており、ISOの将来は、審査機関にかかっているといっても過言ではありません。
また最近は、いろいろなISOの規格が出ています。情報セキュリティマネジメントの規格であるISO27001やITサービスマネジメントの規格であるISO20000、食品安全マネジメントの規格であるISO22000等が新しく制定され、ISOの規格自体がさらに多様化しています。企業は、あれもこれもISOを取るというのではなく、審査機関の選択も含めて、自社にあった、本当に必要なものを見極めていくという姿勢が大事になっているといえます。

品質管理と環境管理の仕組み

 そもそもISOとは、International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略で、この国際標準化機構が認めた、国際的に通用する規格のことをいいます。規格には大きく分けると、“もの”の規格と、“仕組み”の規格があります。ISOの認証取得で話題にあがるISO9001やISO14001は、“仕組み”の規格ということになります。ISO9001とは、品質を会社全体で管理する“仕組み”のこと、ISO14001とは、環境を会社全体で管理する“仕組み”のことをいいます。
 “仕組み”とは、会社の技術やノウハウを継承するために、会社の中に計画・実施・チェック・改善のサイクルを作ることです。
 では、ISOはどのように取得するかですが、JABやUKASといった認定機関から認められた審査機関によって、審査(文書審査、現地審査)を受けて取得します。取得後は、少なくとも1年に1回の維持審査を受け、3年後に更新審査を受けて、ISOの認証を維持していくことになります。

中小企業はグループ認証も

 中小企業においてのISO取得のメリットとデメリットを考えますと、まず“外部から評価を受けられる”、“現場がきれいになる”、“業務の整理や仕事の考え方を見直すきっかけとなる”……などのメリットがあげられます。客観的な評価を外部から受けることが一番大きなメリットでしょう。中小企業の場合、会社や品質の良さをPRしてもなかなか説得力が出せませんから、特にこの部分は大きいところだと思います。実際に、対法人営業では、名刺にISO取得のマークがあるとないのでは、顧客が持つ印象に大きな違いがあるようです。
 一方、“手間がかかる”、“お金がかかる”……などのデメリットも指摘されています。具体的な手間とは、人手や文書の作成、社内教育を行う手間などがあります。しかし、これらを手間と考えず、いずれは会社の業績に反映できる必要な“投資”と認識できれば、だいぶ違うように思います。
 ISOの仕組みを構築する上で大事なことは、まず現状是認で行うことです。あくまでも通常業務の上にISOを当てはめていく考え方が必要です。そうしないと、ISOのやり方と通常業務のやり方が2種類出来てしまい、運用において大きな支障が出てしまいます。その上で、ISOが要求していることで足りないことを、通常業務に足していきます。
 構築上の要は、ISOはあくまでの経営の手段(道具)であって、目的ではないということです。あまりISOという道具にこだわりすぎないことが大事です。
 中小企業のISOの認証に関わる負担を軽減する方法として、ISOのグループ認証ということが注目されはじめています。これは、一つの会社で仕組みを完結して取得をするのではなく、他社と一体となって、仕組みを構築し、グループとして取得することをいいます。
 事例としてはまだまだ少ないのですが、大阪府や兵庫県、東京都、埼玉県などにある18の歯科医院が集まって、「歯科ネットワーク」というグループをつくり、グループとしてISO9001を取得した例があります。
 グループ認証方式は、手間やコストはある程度少なくなりますが、一方で、一つの仕組みで行うため、自社での中身を他社にさらすということになります。そのため、自社のノウハウや機密情報をどうするのかという問題が出てきます。グループ認証方式はあらたなISOの形態として一つの選択肢となり得るやり方ですが、組織を超えて共存・共栄していく考え方が必要です。

家庭版ISOのすすめ

 私は、今まで業種や規模を問わず、多くの企業に対してISOの支援を行ってきました。その経験から実感することは、いくら会社でISOの仕組みを作っても、そこに所属する個人において、仕組みの理解がないと、うまく機能しないということです。
 仕組みは、人が動かすものです。だから、人にフォーカスしていく、さらにはもっと実感しやすい、もっと身近な部分にフォーカスしていくことが必要だと思います。
 ISOの考え方は、会社だけに当てはまるものではなく、家庭内でも必要だと私は思います。会社において、社員が一致団結して事業をしていくことが求められるように、家族も一致団結して生活していくという考えも必要かと思います。
 家族が一致団結して生活していくには、家庭内でも方針や目標、教育が必要です。そのツールとして一般家庭版のISOをアレンジして、導入・普及する必要性を感じています。
 一般家庭も、日常生活のありよう、仕組みを第三者から審査(チェック)してもらい、客観的にお墨付きをもらうことは、自信になり、個人の指針としても大切だと思います。こうした考えは、今ある家庭問題や教育問題などの解決についても大変有効なような気がします。「プレジデントファミリー」という子供の教育をテーマとした雑誌が注目を浴びているように、子供の教育や妻との関わりなど、現在送っている家庭生活(日常生活)はこれでいいのか、という不安や疑問を持つ人は多いはずですから。
 家庭のありようがさまざまに議論されている現在だからこそ、ISOという仕組みを家庭にも浸透させる。そして、その結果として、その人の人生が充実したものになり、日本という国が良くなれば、と思っています。